日本ペインクリニック学会誌
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ケタミン寒天製剤の神経因性疼痛患者における使用経験
鎮痛効果と血漿中濃度
金内 美妃浅野 真郡 修徳千本木 要坂井 英夫井関 健
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2006 年 13 巻 1 号 p. 8-12

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抄録

全身麻酔薬であるケタミンは, 神経因性疼痛に対する鎮痛薬としても広く使用されている. 一方, ケタミンの市販薬は注射剤のみであるため, 院内製剤としてのさまざまな剤形が検討されている. われわれはこれまでに寒天を用いたケタミン製剤を調製し, その性質について報告した, 今回は, 本製剤の鎮痛効果および薬物血漿中濃度推移について検討した. 対象は帯状疱疹後神経痛患者1名とし, 製剤を口腔内投与後の血漿中ケタミンおよびノルケタミン濃度を高速液体クロマトグラフにより測定した. 疼痛の程度は11段階の疼痛スコア (numerical rating scale: NRS) により評価した. その結果, ケタミン製剤の服用により患者の疼痛は約3~8割程度軽減し, その効果は3~4時間持続した. また, 患者はケタミン製剤による治療を約2ヵ月間継続した結果, 完全鎮痛が得られた. また製剤服用後の血漿中薬物濃度推移では, これまでに報告されているケタミンの経口投与時のようなノルケタミン血漿中濃度の顕著な増加は認められなかった. われわれの開発したケタミン寒天製剤の口腔内投与が, 十分な鎮痛効果と quahty of life (QOL) 向上をもたらした1症例を経験した. 今後は, ほかの患者に対する有効性について検討を重ねていく予定である.

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