日本ペインクリニック学会誌
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末梢性求心路遮断性疼痛に対する鏡療法の有用性 (第1報)
幻肢痛2例
住谷 昌彦林 行雄上林 卓彦井上 隆弥阪上 学松田 陽一金村 誠哲柴田 政彦眞下 節
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キーワード: 鏡療法, 幻肢痛, 身体表象
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2006 年 13 巻 4 号 p. 419-422

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抄録

患肢が鏡の中に存在するかのように見えるように, 健肢を鏡に映し出すことによって幻肢の随意運動を行うことができるようになり, 幻肢痛の緩和が得られるといわれている. 今回われわれは, 薬剤治療に抵抗性の下肢切断後幻肢痛患者2例に対して鏡療法を行った. 両症例ともに, 1日1回10分の鏡療法施行直後にはなんら変化がみられなかったが, 2~3週間継続後に幻肢を随意に運動することができるようになり, それとほぼ同時期に幻肢痛の緩和が得られた. これらの症例から, 鏡療法の疼痛緩和メカニズムは, 視覚入力を介した身体表象 (患肢の運動表象) の再形成による知覚運動協応の再統合 (正常化) が示唆された. 鏡療法は簡便・安全・安価な治療法であり, なおかつ患者が主体的に疼痛治療に参加することを促せることから, 幻肢痛治療の一選択肢となりうると考えられる.

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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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