日本ペインクリニック学会誌
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歯科で遭遇した群発頭痛の1例
正司 喜信
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2006 年 13 巻 4 号 p. 427-429

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抄録

群発頭痛は眼窩部および, こめかみの片側性の激しい疼痛を特徴とするが, 歯牙を含む同側口腔顔面に痛みを引き起こすことは珍しくない. 今回, 歯科に来院した群発頭痛の1症例を経験したので報告する. 症例は48歳の男性で, 近医歯科で右上臼歯部の治療のため口腔内に局所麻酔を受けたとほぼ同時に同側顔面に疼痛発作を起こし, 直後に紹介され来院した. 疼痛部位は右こめかみ・眼窩部から上顎で, 随伴症状として眼瞼の浮腫および流涙などが認められた. そこで同側翼口蓋神経節に診断的麻酔を行ったところ, 疼痛は軽減した. 群発頭痛と診断され, 紹介先の内科医より処方されたエレトリプタンにより症状は3日後には軽快した. この結果, 群発頭痛の激しい疼痛症状の急性期の治療法として経鼻法による翼口蓋神経節への麻酔が有効な手段の一つであることが示唆された.

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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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