日本ペインクリニック学会誌
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神経ブロック非適応の急性帯状疱疹痛患者における直線偏光近赤外線局所照射を併用したイオントフォレーシスの有用性
末次 啓子
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2007 年 14 巻 1 号 p. 3-8

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抄録

局所麻酔薬を使用したイオントフォレーシスや, 直線偏光近赤外線局所照射は, 帯状疱疹痛に対する神経ブロックの代替治療として知られている. われわれは, 神経ブロック非適応の激しい帯状疱疹痛患者8例を対象に, 直線偏光近赤外線局所照射を併用したイオントフォレーシスを行い, その実施状況と臨床経過を追跡して治療効果を検討した. 神経ブロック非適応症例は全体の6.2%であった. 初回治療によって痛みが平均34.6%に減少し, 治療開始から治癒までに要した日数は平均73.3日, 1人当たりの施行回数は平均32回で, 治療による合併症はみられなかった. 鈍痛や痺れに対する効果は得られなかったが, 鋭く疼くような痛みや電撃痛には効果が得られ, 8例の患者すべてが, 治療が有効であったと回答した. また手技が簡単であるだけでなく, 安全にかつ苦痛を伴うことなく繰り返し行うことが可能であり, 神経ブロックができない激しい帯状疱疹痛の治療法として, 直線偏光近赤外線局所照射を併用したイオントフォレーシスは有効であると思われた.

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