日本ペインクリニック学会誌
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三叉神経末梢枝への反復ブロックが聴神経腫瘍切除後の遷延性神経麻痺を改善した1例
吉本 鉄介津田 喬子春原 啓一雄山 博文伊藤 弘晃Hiroyuki HIRATE田村 哲也野崎 裕広勝屋 弘忠
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2007 年 14 巻 2 号 p. 144-149

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抄録

巨大な右側聴神経腫瘍の術後顔面痛に対する三叉神経末梢枝への反復ブロックが, 術後に遷延した脳神経麻痺を著明に改善した60歳代女性の1例を報告する. 症例はペインクリニック (PC) 受診14カ月前に受けた第IV, V, VI, VII, VIII, IX脳神経への腫瘍の炎症性癒着剥離により当該脳神経の麻痺を発生し, PC受診8カ月前には重篤な右側顔面痛も発生したためPCでの通院治療を開始した. 局所麻酔薬による眼窩上, 眼窩下および上顎神経ブロックを反復することにより顔面痛は軽減し, 同時に2カ月間で脳神経麻痺も著明に改善し, その後1年間効果は持続した. この結果より, 本例では手術によって損傷された三叉神経と交感神経との間に cross-talk を形成した複合性局所疼痛症候群 (CRPS) が推測された. 三叉神経末梢枝ブロックは cross-talk による脳神経への血流低下を軽減し脳神経麻痺を改善したと推測する. 本例は聴神経腫瘍手術後に脳神経麻痺が遷延する場合, CRPSの可能性があることを示唆している.

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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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