日本ペインクリニック学会誌
Online ISSN : 1884-1791
Print ISSN : 1340-4903
ISSN-L : 1340-4903
らい性神経痛の特徴と治療経験
らい陳旧例において
村上 雅子
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 2 巻 3 号 p. 380-386

詳細
抄録

(1)目的: らい陳旧例の神経痛について痛みの特徴を明らかにする.
(2)方法: 国立療養所沖縄愛楽園麻酔科外来を受診したらい陳旧例30例を対象とした. 神経痛のタイプは皆内の分類法により慢性神経痛, ファントム様疼痛, ENLの3つに分けた. 鎮痛の目的でSGB, 腰部硬膜外ブロックを行ないその効果について判定するとともに, 神経痛発症と末梢神経障害や患者背景因子との因果関係について考察した.
(3) 結果: 30例のうちL型らいが18例, T型らいが12例であった. L型らい18例のうち慢性神経痛が10例, ファントム様疼痛が7例, ENLが1例であった. T型らいは11例がファントム様疼痛, 1例が慢性神経痛であった. 慢性神経痛は痛みの部位に知覚低下がある場合とない場合があった. ファントム様疼痛は1例を除き知覚の脱失あるいは低下が認められた. これらの神経痛に対してSGB, 硬膜外ブロックは有効であった. 神経痛発症と末梢神経障害, 患者背景因子との間に関連性は認められなかった.
(4) 結論: らい陳旧例のらい性神経痛に対してSGB, 硬膜外ブロックが有効である. ファントム様疼痛は deafferentation pain の性質をもっていることが示唆された.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
前の記事 次の記事
feedback
Top