日本ペインクリニック学会誌
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小児帯状疱疹69例の検討
原野 清原野 愛生高崎 光浩佐藤 英俊十時 忠秀
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キーワード: 帯状疱疹, 小児
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1996 年 3 巻 2 号 p. 80-84

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抄録

1988年~1993年の6年間にわれわれが診療した69例の小児帯状疱疹について検討を行なった. 発症年齢は7歳以降すなわち就学期以後に増加する傾向があり, 性差は男児32例 (46%), 女児37例 (54%) であり, 発症した暦月は8月が11例 (19%) と最も多く, 1月と5月がそれぞれ1例 (2%) と最も少なかった. 罹患側は同側 (左) の複発性症例を1例含めて, 右側38例 (54%), 左側32例 (46%) でいずれも大差はなかった. 罹患部位については胸神経領域が50例 (71%) と最も多く, その中で第4胸神経 (T4) が10例 (14%) と最多であった. 基礎疾患を有している症例の13例 (19%) 中, 5例が悪性疾患であった. 基礎疾患のない56症例で帯状疱疹痛のために入院治療を行なった症例は16症例で12例に対して6~19日 (平均11日) 間の持続硬膜外ブロックを行なった. 4症例は非ステロイド系消炎薬 (non-steroidal antiinflammatory drugs; NSAIDs) にて鎮痛が得られ, 1週間以内に退院した. 他の40症例は数回の外来通院にて治癒し, その中の8例は帯状疱疹痛をまったく訴えなかった. 基礎疾患を有する症例に対しては抗ウイルス薬の静脈内投与を行なった. 補体結合抗体価 (complement fixing antibody titer; CF抗体価) は発症2週間前後頃に上昇する傾向が認められた. 併発症は顔面神経麻痺1例のみで, これは急性リンパ性白血病 (acute lymphatic leukemia; ALL) を基礎疾患にもつ同側のC2領域の帯状疱疹であった. 以上より, 小児帯状疱疹は痛みが軽度で, 帯状疱疹後神経痛 (post herpetic neuralgia; PHN) に移行せず, 夏季に発症が多いことがわかった.

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