日本ペインクリニック学会誌
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フェンタニル持続静脈内投与による術後疼痛管理
高橋 雅彦橋本 恵二長谷川 隆一松岡 博橋本 保彦
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1997 年 4 巻 1 号 p. 1-4

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抄録

目的: フェンタニル持続静脈内投与の術後疼痛に対する有用性の検討を目的とした. 方法: 腹式単純子宮全摘出術施行症例101名を対象とし, フェンタニルを200μg 1回静注後1μg・kg-1・h-1にて持続静注した群 (53名) とペンタゾシン15mg静注とブプレノルフィン坐剤0.2mgを投与した群 (48名) に分けて, 術後疼痛および副作用を比較した. 疼痛の評価は, 1: 無痛, 2: 体動時痛のみ, 3: 自制内の安静時痛, 4: 補助鎮痛薬が必要, の4段階スコアにて行なった. 結果: 術後4時間までは両群の疼痛スコアに差がなかったが, 4時間目以降はフェンタニル投与群が有意に低く, 鎮痛状態が良好であった. また術後16時間の観察期間中一度も鎮痛薬を必要としなかった症例は, ブプレノルフィン群31%に対しフェンタニル群57%とフェンタニル群が有意に多かった. 副作用として両群とも嘔気嘔吐が高率にみられたが, 呼吸抑制は認められなかった. 結論: フェンタニル持続静注はブプレノルフィン坐剤に比べ, 腹式単純子宮全摘出術後の鎮痛に有効であった.

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