日本ペインクリニック学会誌
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突発性難聴に対する星状神経節ブロック療法の有効性について
施行時期の違いによる検討
宮本 光鈴木 圭子浜口 眞輔緑川 由紀夫奥田 泰久北島 敏光馬場 廣太郎
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1997 年 4 巻 2 号 p. 103-106

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抄録

突発性難聴の予後は発症から治療開始までの期間に影響される. この期間を耳鼻咽喉科では第9病日とし, この時期を過ぎると急激に予後が悪化する. したがって内耳の血流改善効果のある星状神経節ブロック (SGB) を発症後できるだけ早期に施行することは, 聴力の回復に効果的であると思われる. 今回われわれは, 過去8年間に当院耳鼻咽喉科より紹介された突発性難聴患者91例を発症後第9病日前にSGBを開始した症例と, 以降に開始した症例に分けてSGBの有効性を検討した. 発症から第9病日前にSGBを開始した症例は16例で, 治癒2例, 著明回復4例, 軽度回復5例となり, 有効率は68.8%であった. 一方, 第9病日以降にSGBを開始した症例は75例で, 治癒5例, 著明回復18例, 軽度回復29例となり, 有効率は69.3%であった. さらに第9病日以降にSGBを受けた75例を第14病日前後, 第21病日前後に分けて検討すると, 第14病日前後では有効率に有意差がなかった. また第21病日前にSGBを開始した症例の有効率は76.9%で, 第21病日以降にSGBを開始した症例では治癒例がなく, 有効率は52.2%となり, 有意に低下した. 以上より, 突発性難聴では発症から第21病日前にSGBを開始すれば, 治療効果が変わらないものと思われた.

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