日本ペインクリニック学会誌
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RSD (Reflex Sympathetic Dystrophy) における骨量評価
大竹 哲也家島 仁史石田 任之牛込 嘉美
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1997 年 4 巻 2 号 p. 107-112

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抄録

目的: RSD (Reflex Sympathetic Dystrophy) は難治性の疼痛や痛覚過敏とともに, 骨量減少が認められる病態である. われわれは上肢のRSD患者19例の骨量を測定し, 患側の値を健側と比較しさらに健常者の左右差と比較検討した. また, RSD発症時からの期間と骨量減少の相関も検討した. 方法: 骨量測定は第2中手骨で測定する microdensitometory 法 (MD法) を用い, MCI (metacalpal-index), ΣGS/D (bone-density), GSmax (max bone-density), GSmin (minimum bone-density) の4種のパラメータで比較検討した. 結果: 対照群の左右差は4種のパラメータとも3~9%であった. 一方, RSD群では患側において, MCIで14%, ΣGS/D, GSmax, GSminで12~25%の骨量減少となり対照群との比較ですべてに有意差が認められた. またRSD発症からの期間と骨量減少の相関をみると, ΣGS/D, GSminでは有意な相関が認められた. 結論: 今回の結果からRSDでは骨量減少は皮質骨の菲薄化というよりは骨密度の減少にあると考えられ, これは退行期骨粗鬆症とは異なるパターンを示すことがわかった. また骨密度は発症後日時が経つほど減少することが認められ, 急性期の段階から骨量が減少していることも示された.

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