日本ペインクリニック学会誌
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われわれが行なっている胸腔鏡下胸部交感神経遮断術 (ETS) と麻酔法
原野 清彌冨 郁夫戸野 保岡村 聡子吉田 綾子小川 幾代十時 忠秀
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1997 年 4 巻 4 号 p. 448-453

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抄録

われわれは1993年11月より従来の胸部交感神経節アルコールブロック適応症例に対しブロック効果の確実性と安全性の高い胸腔鏡下胸部交感神経遮断術 (ETS) を開始した. 以後, 麻酔法を含め安全性を主柱に低侵襲性・手技の簡素化を症例を重ねながら創意工夫を行なってきた. 麻酔法では従来の分離肺換気用の特殊気管内チューブではなく, 通常のシングルルーメンチューブを使用し, 胸腔内手術操作中のみ高頻度ジェット換気 (HFJV) の重畳を併用することにした. ETSでは直径3mmのトロカールを使用しての2ポート法で行ない, 視野の確保はわれわれが考案したエアフィルター付送気球での気胸作成により得ている. 多汗症症例では両側一期的にETSを行ない, 術後は胸腔ドレーンを留置することなく, また皮膚縫合も行なっていない. 交感神経の遮断は電気メスやYAGレーザーによる凝固切除を行なっている. 1997年7月までに69症例のETSを施行したが, そのうち多汗症63例122側の治療効果は全例で手掌の発汗停止が得られた. 腋窩発汗は著効45例 (71%), 有効18例 (29%), 無効0例であった. 足底発汗は著効15例 (24%), 有効27例(43%), 無効21例 (33%) であった. 合併症として気胸3例, 皮下気腫2例, アロディニア4例, 代償性発汗が多数認められた.

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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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