日本ペインクリニック学会誌
Online ISSN : 1884-1791
Print ISSN : 1340-4903
ISSN-L : 1340-4903
当科における胸腔鏡下交感神経遮断術の検討
治療成績と手技の改良
大瀬戸 清茂塩谷 正弘長沼 芳和唐沢 秀武
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 4 巻 4 号 p. 459-462

詳細
抄録

目的: 1994年1月より97年2月までに胸腔鏡下交感神経遮断術を113例施行したので, その施行方法, 治療成績について検討した. 方法: 術式は Claes が考案したレゼクトスコープを使用する方法に準じた. 施行部位は, 第1から第4肋骨上に走行する交感神経幹および節である. 症例: 手術は, 多汗症104例, 反射性交感神経萎縮症 (RSD) 6例, TAO 2例, レイノー病1例に行なった. RSDの6例のうち片方のみは5例, 両側は1例であった. 結果: 術直後の成績は, 113例 (221手掌) のうち214手掌 (97%) の発汗が停止または著明に減少した. 5手掌は高度の肺癒着のため施行不能であり, 2手掌は術後も発汗が止まらなかった. 1997年2月上旬にはがきによるアンケート調査を行なったところ85例で返答があった. 多汗症は74例返答があり, 74例中再発は6例であった. そのうち1例は癒着があり, 以前とまったく同様に発汗したのは3例であった. RSDの効果は1例著効, 1例軽快, 4例不変であった. バージャー病では2例とも著効を示した. 1例のレイノー病は軽快であった. 結論: 胸腔鏡下交感神経遮断術は, 成功率が高く, かつ長期に効果が認められた. この術式は多汗症, RSD, 末梢血行障害に対して有力な治療法となりうる.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
前の記事 次の記事
feedback
Top