日本ペインクリニック学会誌
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胸腔鏡下交感神経遮断術の検討
本間 英司半澤 辰夫遠藤 秀子
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1997 年 4 巻 4 号 p. 463-466

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抄録

1995年5月より胸腔鏡下胸部交感神経(節)遮断術(ETS)を115例に施行した. 手掌多汗症99例, 顔面多汗症+赤面症2例, 外傷性頸部症候群5例, CRPS (complex regional pain syndrome) 4例, その他5例であった. 麻酔は分離肺換気法による空気-酸素-硬膜外麻酔-プロポフォールとした. 体位は両上肢を90°に外転して30°~40°の頭高位, 仰臥位とした. 前腋窩線上第4肋間に1~1.5cmの切開を加え鈍的に開胸した. 同孔よりスコープと焼灼用プローブを挿入しTh2,3,(4)の交感神経(節)を両側同時に焼灼した. 結果: 多汗症に関しては全例満足すべき結果が得られたが, 外傷性頸部症候群を含む各種疼痛性疾患では初期の頃はよかったが, 時が経つに従い徐々に元に戻った. 合併症としての代償性発汗がほぼ全例にみられ, 99例中2名の患者がこのことで悩んでいる. しかし, 手掌多汗に関しては確実に発汗を停止させることができ, 98%の患者に満足を与え, 日常生活におけるハンディは解決されている. 今後, 発汗完全停止ではなくほどよく遮断するにはどうすればよいのかが問題となる.

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