日本ペインクリニック学会誌
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帯状疱疹患者における血清および髄液中の炎症性サイトカイン
特に interleukin-8の変動について
中山 裕人岡田 弘稲田 捷也
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1998 年 5 巻 1 号 p. 17-24

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抄録
目的: 帯状疱疹患者の血液および髄液の炎症性サイトカインを測定し病態形成への関与について検討し, さらに帯状疱疹後神経痛 (PHN) との関連について検討を加えた. 方法: I. 発症1カ月以内の帯状疱疹22例の血清および髄液の炎症性サイトカインをELISA (enzyme-linked immunosorbent assay) 法に基づき測定し, 対照と比較した. II. 帯状疱疹33例の発症初期と1カ月目のインターロイキン-8 (interleukin-8: IL-8) を測定し, 変動とPHNとの関連について検討した. 結果: I. 血清および髄液のIL-6, TNF-αは検出限界以下のことが多かった. IL-8は血清に比べ髄液で高値を示し, 髄液IL-8は対照と比較して高濃度であった. II. 髄液IL-8度は, 急性期87.7±22.0pg/ml, 1カ月目37.0±2.5pg/mlと1カ月目で有意な低下がみられた. また, PHNに移行する患者では, 1カ月目のIL-8濃度が治癒する患者に比較して高値であった. 結論: 今回の研究から, 帯状疱疹において髄液IL-8は帯状疱疹の中枢神経系の炎症の程度を反映し, 病期判定に有用であることが判明した.
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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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