日本ペインクリニック学会誌
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少量フェンタニル使用麻酔後の術後痛に対して硬膜外ブプレノルフィンは有効である
山崎 豊小嶋 由希子高橋 巨
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1998 年 5 巻 4 号 p. 486-490

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抄録

少量のフェンタニルを用いた麻酔後にブプレノルフィンの硬膜外投与が術後痛に対して有効かを上腹部手術を受けた40名で検討した. 麻酔はプロポフォールと10μg/kg以下のフェンタニルで行ない, 適宜硬膜外麻酔を併用した. 手術終了時にC群 (n=20) では0.25%ブピバカイン5mlを注入し, 0.25%ブピバカイン96mlを術後48時間 (2ml/hr) で硬膜外持続注入した. B群 (n=20) ではブプレノルフィン0.1mgと0.25%ブピバカイン5mlを注入, その後ブプレノルフィン0.8mgと0.25%ブピバカイン92mlを2ml/hrで投与した. 術後48時間以内に追加投与された鎮痛薬の使用回数を調べ, 著効・有効・無効の3段階で鎮痛スコアをつけた. また術後4, 12, 24, 48時間後に安静時のVASと Prince Henry Pain Scale に基づいて客観的に5段階で痛みを評価した. B群では安静時のVASがいずれの時点でも平均で20mm以下であり, 客観的にも安静時痛があると評価された症例はなく, いずれの時点でもC群よりも有意に優れていた. 以上より硬膜外ブプレノルフィンは少量フェンタニル麻酔後の術後痛に有効であることがわかった.

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