日本ペインクリニック学会誌
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直線偏光近赤外線の星状神経節近傍照射が手指発汗に及ぼす影響
松田 富雄古野 英典松田 知之福岡 直田辺 毅白石 美治
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1999 年 6 巻 1 号 p. 17-21

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抄録

直線偏光近赤外線の星状神経節近傍照射 (PIRISG) による手指の発汗量の変化を定量的に計測することにより, PIRISGの末梢交感神経活動に及ぼす影響を検討した.
健康成人10名を対象とし, 左側PIRISG (東京医研社製スパーライザーHA-550) を20分間施行した. 照射前を対照とし, 照射10分, 20分の時点で両側拇指の発汗量, および皮膚温を比較した. その結果, 発汗量, 皮膚温ともに対照と比較し有意な変化を認めなかった. また, 照射側, 非照射側間にも有意な差を認めなかった.
PIRISGによって, その照射後に照射側の皮膚温が上昇するなどPIRISGの交感神経抑制作用を示唆する報告がある. しかし, 皮膚温は交感神経のみならず内因性血管拡張因子によっても変化する. 一方, 汗腺はコリン作動性交感神経に直接支配されるため, 交感神経活動をより鋭敏にとらえられると考えられる. 今回の結果は, PIRISGは健康成人において少なくともその照射中には末梢交感神経活動に影響を及ぼさないことを示唆すると同時に, PIRISGの内因性血管拡張因子などに対する影響を検討する必要性を示すものである.

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