日本ペインクリニック学会誌
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神経因性疼痛に対するカプサイシン軟膏の効果
小佐井 和子宇野 武司小金丸 美桂子高崎 眞弓
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1999 年 6 巻 1 号 p. 26-30

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抄録

目的: 神経因性疼痛患者に0.05%カプサイシン軟膏を塗布し, カプサイシン軟膏の鎮痛効果と副作用を検討した. 対象と方法: 従来の治療法で除痛困難であった患者12名, 帯状疱疹後神経痛 (PHN) 群6名と神経外傷後疼痛 (外傷後疼痛) 群6名を対象とした. 塗布前, 塗布中, 中止後の痛みの強さを, 0~100の Visual Analogue Scale (VAS: 0=痛みなし, 100=耐えがたい痛み) で比較した. さらに睡眠, 気分, 日常動作の変化, および塗布中の副作用を調べた. 結果: VASの中央値はPHN群で塗布前45, 塗布中10, 中止後10であり, 外傷群で塗布前80, 塗布中40, 中止後50で, 両群とも塗布中および中止後は塗布前に比較して有意に低下した (p<0.05). 睡眠, 気分, 日常動作の改善がそれぞれ42%, 75%, 58%で認められた. 軽度の皮膚剥離を1名に認めた以外, 重篤な合併症は認めなかった. 中止後, PHN群では痛みは変化しなかったが, 外傷群では痛みは少し増強した. 結論: 0.05%カプサイシン軟膏は, PHNおよび外傷後疼痛の治療に有効であることがわかった.

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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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