日本ペインクリニック学会誌
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CRPSの治療
整形外科診療の現場から
古瀬 洋一
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キーワード: カウザルギー
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1999 年 6 巻 2 号 p. 70-75

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抄録

目的: ペインクリニックで治療するCRPSは病期の進んだものが多い. 一方, 整形外科は新鮮外傷から治療にあたっているため, 初期のCRPSを診ることが多い. 整形外科の立場から特に初期のCRPSの診断と治療について報告する. 方法: 1987年以降に治療したCRPSを retrospective に検討した, 症状および所見と治療法の組み合わせ, そしてその治療成績を分析した. 結果: CRPS type Iは初診時に浮腫の強い症例が多く, これらに対してはステロイドを中心とした治療が有効であった. 初診時にすでに浮腫が少なくなっている症例ではステロイドは無効なことが多く, 種々の治療を行なったが, 結果を予測できたものは少なかった. 再現性の得られた治療法は星状神経節ブロックが一時的に著効した場合の胸腔鏡下交感神経遮断術のみであった. CRPS type IIは初診時から浮腫の少ない症例が多く, 外科的治療を含め多種の治療を施行したが治療成績は不良であった. 結論: 浮腫の強い早期に治療を開始することが整形外科の使命で, この時期を過ぎ, 浮腫が消退すると難治性となり, 治療成績の予測が困難となる.

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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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