1999 年 6 巻 4 号 p. 393-396
メピバカインを用いた持続硬膜外ブロック治療中の Complex Regional Pain Syndrome (CRPS)患者において, 肝機能障害を合併した症例を経験した. 症例は45歳, 女性. 右手の疼痛のため入院し, 入院後CRPSと診断され, 1%メピバカインを用いた持続硬膜外ブロックと静脈内局所交感神経ブロックを行なった. 疼痛は徐々に軽減したが, 入院25日目に上腹部の不快感と全身倦怠感が出現した. GOT 130IU/l, GPT 408IU/lと上昇したため, ただちに硬膜外ブロック, 内服薬ともに中止した. 自覚症状は軽快したが, 肝機能異常は遷延した. トランスアミナーゼの上昇や好酸球増多の所見などから, 薬剤性の肝障害が強く疑われた. 使用薬剤によるリンパ球刺激試験ではすべて陰性であった. 起因薬剤としては, 検査所見の経過が, 近年報告のみられるブピバカインによる肝障害と酷似していた.