日本ペインクリニック学会誌
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進行性全身性硬化症の難治性趾尖潰瘍に対してプロスタグランディンE1持続点滴静注下局所静脈内交感神経ブロックが有効であった1症例
水野 樹中山 泰典土肥 俊之
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2000 年 7 巻 1 号 p. 51-54

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抄録

進行性全身性硬化症 (PSS) の難治性趾尖潰瘍による疼痛に対して, プロスタグランディンE1(PGE1)持続点滴静注下局所静脈内交感神経ブロック (IRSB) が有効であった1症例を経験した. 症例は55歳, 女性. PSSの合併症によると思われる急性右総腸骨動脈血栓症に対して血栓除去後, 右第1趾趾尖部の難治性潰瘍の疼痛が発生, 持続していた. 疼痛緩和および末梢血流障害の改善を目的として腰部硬膜外ブロックおよび腰部交感神経節ブロックを施行した. その後, 抗凝固剤および血小板凝集抑制薬の内服治療による易出血状態のため, 治療法としてPGE1持続点滴静注下IRSBを選択施行した. その結果, 疼痛は軽快し潰瘍は縮小した. 本症例から, 血管拡張作用, 血小板凝集抑制作用などの血流増加作用のあるPGE1と四肢の除痛, 末梢血行障害の改善を目的としたIRSBを併用することは, PSSの難治性趾尖潰瘍の知覚障害, 血行障害の改善に有用であると思われる.

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