日本ペインクリニック学会誌
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手掌多汗症患者における胸部交感神経遮断術の皮膚温および交感神経活動に与える影響
サーモグラフィと交感神経皮膚反応 (SSR) を用いて
武藤 孝夫内野 博之本間 豊彦一色 淳
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2000 年 7 巻 2 号 p. 120-125

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抄録

目的: 手掌多汗症に対して胸腔鏡下胸部交感神経遮断術 (ETS) を施行した患者を対象とし, 交感神経皮膚反応 (SSR) とサーモグラフィを用いて交感神経機能の解析を施行した. 方法: ETS目的にて来院した手掌多汗症患者38症例を対象に, 術前, 術後1日, 1, 3, 6, 12カ月においてSSR, サーモグラフィ, 手掌発汗量, 手掌温を測定した. 結果: 術後1日において全38症例に手掌発汗の停止が認められ, 38症例中4症例において術後12カ月までに手掌の再発汗を認めた. SSRは術後1日で全38症例において消失し, 再発汗4症例においてSSRの再出現を認めたが他の36症例では術後12カ月までSSR消失を示した. サーモグラフィは全38症例において術後, 顔面から上肢, 上胸部, 上背部にかけて皮膚温の上昇が認められ, この皮膚温上昇域をもとにサーマトームを作製した. 結論: 術後, SSR消失と手掌発汗停止はほぼ一致しており, SSRが治療効果に対する判定指標の一つになることが示唆された. またサーモグラフィによる皮膚温上昇域により上位胸部交感神経は顔面から上肢, 上胸部, 上背部にかけて支配していることが推測された.

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