日本ペインクリニック学会誌
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高齢者癌性疼痛治療上の特徴: 全国ホスピス・緩和ケア病棟へのアンケート調査から
西脇 公俊佐藤 光晴熊谷 幸治郎北村 英恵矢野 華代木村 智政小松 徹島田 康弘
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キーワード: 癌性疼痛, 高齢者, WHO指針
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2000 年 7 巻 2 号 p. 138-144

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抄録

目的: WHOの癌性疼痛治療指針は成果をあげているが, 高齢者治療上の具体的注意点にはあまり言及していない. そこで高齢者 (65歳以上) の癌性疼痛治療上の重要点・問題点を探る目的で, アンケート調査を行なった. 方法: 53項目にわたり, 高齢者癌性疼痛治療上の重要度 (3段階), 65歳未満の患者を治療する場合との差, 関連薬剤の使用頻度についてのアンケート用紙を作成し, 全国のホスピス・緩和ケア病棟32施設に送付した. 結果: 18施設から回答を得た. 調査53項目のうち重要度は85%の項目において, 半数以上の施設が非常に重要または重要と回答し, 年齢差は30%の項目において半数以上の施設が差有りと回答した. 慢性痛の併発など痛みの評価が難しく, 薬物治療の基本はWHOの指針によるが, 通常成人の半量程度から開始し, 投与量を時間をかけて調節し, 精神症状などの副作用に特に注意が必要で, リハビリテーションの必要性が高いなど, 高齢者を対象とするうえで特別な配慮が必要であることが判明した. 結論: 高齢者の癌性疼痛治療においては, 痛みの評価・治療法の組み合わせ・薬物の投与量などについて, 加齢変化を考慮した種々の特別な配慮が必要と考えられた.

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