日本ペインクリニック学会誌
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顔面神経麻痺の予後評価における Blink Reflex R1波の意義
中川 五男濱田 宏上杉 文彦酒井 明彦木村 美葉安氏 正和
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キーワード: 顔面神経麻痺
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2001 年 8 巻 1 号 p. 12-17

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抄録

目的: 顔面神経麻痺症例の blink reflex (BR) および electroneuronography (ENoG) を経時的に測定し, これらの経過と予後との関係を検討した. 方法: 顔面神経麻痺患者50例を発症2週間以内に麻痺スコア90点以上に改善した群 (I群), 2週間以上の経過で麻痺スコア90点以上に改善した群 (II群), 麻痺スコア90点未満であった群 (III群) に分類した. 初診時よりほぼ2週間ごとにBR, ENoGを測定し, BR測定で求められるR1波の発現の有無, R1波の振幅, 潜時およびENoGの推移を群間で比較した. 結果: ENoGは初診時には群間差はなく, 発症10日以降に有意差が認められた. 一方, BRでは初診時にR1波が発現していれば予後良好であり, R1波の振幅の回復経過は症状の改善と一致して推移した. 結語: BRのR1波の発現の有無は顔面神経麻痺の早期予後判定に有用であり, またR1波の振幅の推移は顔面神経麻痺の病態の変化と密接な関係があることが示された.

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