日本ペインクリニック学会誌
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心理アセスメント
池田 祥子
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2001 年 8 巻 2 号 p. 53-58

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抄録

慢性疼痛をもつ患者の身体所見と併せて, 心理的な側面を正しく評価し, 理解することは, 効果的な治療方針を検討するうえで大切である. ペインクリニック科における患者の心理アセスメントの実際を紹介する. 身体的な痛みを訴えて来院した患者に対して, 心理的なアプローチをする際は, 患者の心身相関についての洞察レベルを十分に考慮する必要がある. 臨床心理士による面接では, 来院経緯, 患者の症状, 患者が痛みをどのように体験しているか, 患者が認識している痛みの原因を聴取したうえで, 治療モデルを呈示する. 患者自身が心身両面からの治療の必要性を十分に理解し, 主体的に治療に参加してもらうことが大切である. また, 質問紙法, 投影法の心理検査をいくつか組み合わせて実施している. その際は, 患者に検査の意義と必要性を十分説明したうえで, 適切なテストバッテリーを組むことが大切である. 検査者は心理検査の構成概念を理解し, 解釈に習熟したうえで結果を患者にフィードバックする. 心理アセスメントの結果により, 神経ブロック療法適応, 薬物療法の適応, 他科コンサルテーションの必要性などを検討し, 身体的所見と併せて治療方針を決定する.

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