日本ペインクリニック学会誌
Online ISSN : 1884-1791
Print ISSN : 1340-4903
ISSN-L : 1340-4903
眼窩深部痛の4症例
北見 公一
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 8 巻 2 号 p. 90-95

詳細
抄録

目的: 種々の疾患でみられる眼窩深部痛の病態を4臨床例より検討し, 治療法について考察した. 症例1: 72歳, 女性. 眼窩深部痛で発症した内頸動脈海綿静脈洞瘻であった. 症例2: 34歳,女性. 慢性群発頭痛. 翼口蓋神経節 (PPG) の高周波熱凝固 (RFTC) が有効であった. 症例3: 51歳, 男性. 眼窩深部痛を主訴とし, 後頭神経痛も併した大後頭三叉神経症候群であった. C2神経節RFTCで眼窩深部痛は残存したが星状神経節ブロックの併用で軽快した. 症例4: 67歳, 男性. 三叉神経痛. 群発頭痛として治療されていたが, 絞られるような痛みのなかに穿刺痛の要素があり, 三叉神経血管減圧術を行って眼窩深部痛の消失をみた. 考察: 眼窩深部痛は顔面痛のうちでも, 群発頭痛, 三叉神経痛, 耳鼻科疾患の関連痛, 眼疾患など種々の疾患でみられる興味深い症状である. 著者は上記症例の経験と眼窩周囲の神経分布形態より, 眼窩深部痛はPPGの刺激を引き起こす病態, すなわち局所の炎症のみならず, 中間神経刺激, 三叉神経刺激, 海綿静脈洞内圧上昇, 交感・副交感神経刺激などを引き起こすさまざまな病態からの結果であると結論した. 診断的意義の大きい症状であるとともに, 治療には局所神経解剖学の知識が不可欠と思われる.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
前の記事 次の記事
feedback
Top