日本ペインクリニック学会誌
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慢性・急性痛の動物モデル-臨床視点からの検証-NO誘発性痛覚過敏反応モデル
増江 達彦下中 浩之土肥 修司
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2002 年 9 巻 4 号 p. 395-399

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抄録
痛覚過敏反応の形成に脊髄における一酸化窒素 (NO) の関与が推定されている. われわれは, 外因性NO供与体であるニトログリセリンの硬膜外腔への投与が, 痛覚過敏反応を惹起するかどうかを検討してきた. Tail-flick test において, ニトログリセリンならびにL-アルギニンの硬膜外腔投与は, tail-flick 潜時 (TF値) を短縮したが, ニトログリセリンの筋注, D-アルギニンの硬膜外腔投与は, TF値に影響を与えなかった. ニトログリセリンによる発痛作用 (TF値の短縮) は, メチレンブルーの前投与によって拮抗されたが, L-NAMEの前投与によっては影響を受けなかった, L-アルギニンによる発痛作用は, L-NAMEの前投与によって拮抗された. ニトログリセリンと脊髄細胞浮遊液とを混和振盪した試料において, NOxが検出された. 以上の結果より, ニトログリセリンの硬膜外腔への投与により, 脊髄レベルでのNO生成によって惹起されると推定される痛覚過敏反応が出現することが判明した.
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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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