日本ペインクリニック学会誌
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痛み受容器(侵害受容器)の生理学
痛み受容器における受容変換・感作の機構
水村 和枝
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2002 年 9 巻 4 号 p. 400-406

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抄録
痛みは, 痛み刺激 (侵害刺激) が侵害受容器によって電気的な信号 (活動電位) に変換されたうえ, 末梢求心神経軸索上を伝達され, さらにその情報が脊髄, 視床を経て大脳皮質まで伝達されて痛みとして感じられる. 各種の刺激が痛みの受容器終末に到達したとき, 最初に起こることは電気的変化 (受容器電位) を生じることである. この変換を行うトランスジューサー, イオンチャネルについての研究の現状を紹介し, ポリモーダル受容器のような複数の刺激に反応する侵害受容器終末には,これらのトランスジューサーやイオンチャネルが1つの神経終末上に分布しているものと想像されていることを紹介する. また, 炎症や組織損傷部位において痛覚過敏が起こることはよく知られているが, その機構にこの侵害受容器の反応性の増大 (感作) がかかわっており, 感作の機構の1つとして炎症メディエーターによる機械反応や熱反応の修飾の例を示し, またその分子的機構について最近の知見を紹介する.
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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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