日本ペインクリニック学会誌
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物理的方法による痛み治療の適応と限界
高周波熱凝固法による痛みの治療
伊藤 樹史伊藤 寛之山口 達郎和氣 陽一郎立原 弘章柳田 国夫白石 修史宮田 和人
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2002 年 9 巻 4 号 p. 407-413

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抄録

各種の神経痛に対して高周波熱凝固法を応用している. その適応は神経ブロックの効果が一時的で治療に難渋する疼痛である. 方法はトリガーポイントブロックや神経根ブロックと同じ要領で, 局所麻酔の後, 電極針を挿入する. X線透視あるいはCT誘導下で行うこともある. 針先の位置は, 再現性のある放散痛, 造影所見が参考になる. 電極針は運動神経への影響がなく, 知覚神経に近いことを確認する. 凝固温度は60~90℃, 凝固時間は90~120秒の範囲で行っている. 効果判定は, 熱凝固後から2, 3日経過した鎮痛改善度から評価する. 凝固直後から良好な鎮痛を示す場合が多い. この方法は適応疾患を選べば, ペインクリニック領域で有用な鎮痛手段となる. 適応疾患は難治性のRSDや三叉神経痛, 神経根症状の強い変形性脊椎症, 圧迫骨折, また帯状庖疹後神経痛も対象となる. 副作用は, 一過性の凝固領域の疼痛やしびれ感, 軽い運動機能低下がある. 症例を提示し解説を加えた.

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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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