各種の組成を有する切削油剤を用いて, 切削油剤の潤滑効果と冷却効果が, 切削抵抗に及ぼす影響を調べた。超硬バイトによる車軸鋼の切削の場合につき, 普通鋼の高温における機械的性質の変化を考慮に入れて考察した。またそれらに関連して, 切削油剤の作用について, 定性的に一般的考察をした。
1) 削り速度20m/min~40m/minにおいては, いずれの切削油剤も有効であるが, 中でも, 極圧潤滑性に富むものの方が, 冷却性に富むものより有効である。水だけでも明らかに切削抵抗を軽減する作用はあるが, その変動係数は比較的大きく, 特に, 削り速度20m/minの場合には, 乾切削の場合よりも大きい。
2) 削り速度40m/min以上においては, 塩素系添加剤のものは効果を失い, かえって切削抵抗は高くなる。ただし変動係数は, 削り速度90m/min付近まで乾切削の場合よりも小である。
3) 削り速度40m/min~80m/minでは, 冷却性を主とするものの方が, 冷却性の少ない極圧潤滑性油剤に比較して, 一般に切削抵抗は低い。ただし, 主分力の変動係数は, 冷却性の大きいものの方が一般に大きい。
4) 極圧潤滑性と冷却性兼備のものが, 削り速度100m/min以下においては, いずれの速度においても比較的安定した効果を維持している。
5) 削り速度120m/min以上においては, 送り方向の切削抵抗変動係数をいくらか小さくするということを除いては, 切削油剤の使用は, 一般に切削抵抗およびその変動係数を乾切削の場合に比較して大きくする。
6) X-Yシンクロスコープにより, 匁先摩擦角および切削抵抗合力の大きさを測定した。そして, 水およびいおう含有スピンドル油が, 削り速度120m/minでは, かえって摩擦角を大にすること, そして全般的に見て, 水だけでは比較的効果が小さく硫化ソーダの水溶液にすると大きな効果を示すこと, またいおう含有スピンドル油も, 低速では大きな効果を示すことなどがわかった。
7) 切削油剤の潤滑作用と冷却作用に関して一般的に考察し, その作用の中に負帰還的な要素の含まれていることを指摘した。