39 巻 (1973) 464 号 p. 961-965
銅単結晶の(001)面上で,ダイヤモンド円すい圧子を用いて単粒引っかき加工を行なったときに生じる条痕について,表面性状および変形下部組織を結晶学的な立場から観察し,それらの結果を対応させながら検討してみた.
得られた結果を要約すると,
(1) 単粒引っかき加工によって,結晶がわん曲・回転した層や結晶が微細多結晶化した層を含む加工層が条痕下部に形成される.
(2) 引っかき条痕中心部における変形組織は,圧子頂角の大きさに依存しており,圧子が鋭い場合にのみ,結晶の微細多結晶化が見られる.
(3) 引っかき条痕は,圧子の押込みに際して生じるすべり変形に加えて,圧子の進行に伴って生じる結晶の回転によって形成される.
(4) 引っかき加工層は,(3)で述べた二つの条痕の形成過程で生じる転位組織が合成されることによって形成されるものと考えられる.