精密工学会誌
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幾何学的交線追跡法による高品質曲面交線計算
東 正毅森 辰巳穂坂 衛
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1990 年 56 巻 1 号 p. 92-97

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抄録

本研究では,まず,曲面の交差により定まる交線が,曲面の性質によってその形状が規定されることを示した.交線上の一点においては,その接線方向は,両曲面の接平面の交線となり,その接触平面と曲率は,両曲面の2次微分ベクトルまでで決定される主曲率と曲面の交差状態で定まる.また,両曲面の法線ベクトル方向が等しくなる特異点近傍では,交線を接平面に投影することにより交線パターンが整理でき,特異点が存在する場合には2直線に,存在しない場合には,双曲線などになることを明らかにした.次に,これらの性質を利用して,補助平面を用いた収束計算と,両曲面の法線ベクトルの差に対応して追跡幅を変更しながらパラメータの2次近似により,交線を追跡する幾何学的交線追跡法を提案した.この方法では,特異点が存在する場合には,これを交線追跡の途中で算出できる.
以上の手法を適用の結果,曲面の種類によらず統一的に,精度良く安定的に,複数本の交線をもれなく効率よく計算できることを確認した.今後は,この手法の形状モデリングシステムへの組込みを図ってゆく.

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