精密工学会誌
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直動ボールガイドシステムの負荷分布と精度・剛性に関する研究
清水 茂夫
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1990 年 56 巻 8 号 p. 1445-1451

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抄録

直動ボールガイドシステムとして工作機械のXテーブルを想定して負荷分布式をたて, 各ガイドブロック内の玉に分布する負荷の状態, システム内最大分布負荷, 最適予圧, 最適軌道面形状, 剛性, 案内精度などを求めた結果を要約すると次のようである.
(1) ボールガイドの剛性は工作機械構造要素の剛性に比べてかなり高い.
(2) LMBGシステムにモーメント荷重が作用する場合システム内最大分布負荷を最小にする最適予圧が存在する.
(3) 垂直変位, 水平変位, ローリング, ヨーイング, ピッチングの変位5成分は軽予圧領域から最適予圧領域へかけて著しく低減するが, 過剰予圧領域になってもさほど低減しない.
(4) 最適予圧近傍のLMBGシステム内負荷分布状態は最大分布負荷をうけるブロック内の最小分布負荷玉列の予圧がまさに抜ける状態である.
(5) 軌道面両端部の逃げ幅および逃げ量は, LMBGシステム内最大分布負荷や負荷分布状態および案内精度に著しく影響する.
(6) ガイドブロックの最適端部形状として, それぞれ逃げ幅は玉径の3倍, 逃げ量は玉径の1/250~1/500倍を目安にしたクラウニングを施すようにすると最大分布負荷をある程度の増大で押さえ, 案内精度を著しく向上できることがわかった.

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