精密工学会誌
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ダイヤモンドのレーザアシスト熱化学加工に関する基礎的研究
宮沢 肇三宅 正二郎宮崎 俊行渡部 修一村川 正夫
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1995 年 61 巻 3 号 p. 415-419

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抄録

比較のため,H2O,H2O2,KOH,KNO3およびNaNO3それぞれの溶液を満たした容器の中で,ビーム透過率の高いダイヤモンドを金属板Lに固定し,ダイヤモンドを透過したビームで金属表面を加熱し,ダイヤモンドを裏面から加11するLATCP法(レーザアシスト熱化学加工法)において,溶液の種類,加工速度等の加工パラメータがダイヤモンドの加工特性に与える影響および加工メカニズムについて検討した結果,以下の結論が得られた.
(1)本加工法によれば加工面にグラファイト,アモルファス等の変質層は生成しない.
(2)溶液の種類は,安定した加工ができる点でKOH溶液が優れている.
(3)KOH溶液使用の場合,溝の形成に及ぼすスキャン速度の影響は,10mm/min程度の低速度では連続した溝力加工ができるが60mm/min程度の速さに達すると加工が断続的になる.
(4)KOH溶液使用の場合,ビームスキャン回数の影響は,スキャン1回目ではダイヤモンドと下板の間に溶液が実質的に存在しにくいことから溝は形成しにくいが以後,スキャン回数が増えるに従って深溝が形成されるようになる.また,加工溝の形状および表面あらさも改善される.
(5)本加工法のメカニズムは,溶液が突沸,ガス化してダイヤモンド(炭素)と反応し,COやCO2,CH4やH2Oガスとなって噴出,除去されると考えられ,下板への炭素の拡散といったメカニズムは存在しないと思われる.

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