精密工学会誌
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ロータリー切削法による新素材金属繊維の製作
陳 平
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1995 年 61 巻 9 号 p. 1280-1284

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抄録

新素材金属繊維の新しい製造法として, 従動式ロータリー切削法を提案し, その可能性と実用性を実験的に検討した.以下の結果が得られた.
(1) 切削油を使用せず工具傾き角を大きく設定した微小切削において, 鋼をはじめ, チタン合金, ステンレス鋼, 純ニッケルとADI鋳鉄など実験したすべての素材から, 次の共通な特徴をもつ繊維状切りくず (ロータリー切削繊維) が安定に製作できた.
・均一な寸法と幾何形状を有する.
・繊維の断面形状は大略三角形である.
・切りくずせん断層が繊維の長軸方向とほぼ平行である.
・母材と比べ, 切削繊維の引張強さが高まった.
・長/短繊維 (鋳鉄は短繊維のみ) の製作が可能である.また, 切削繊維の形状と幾何寸法の管理も可能である.
・切削液が不要, 高速切削が可能である.
(2) ロータリー切削繊維は通常の切りくずに見られない形態を呈し, 同繊維の生成機構は通常切削と異なる.工具の回転運動はその要因である.切れ刃の適切な連続移動によって, 切りくずせん断層が繊維の長軸方向とほぼ平行になり, また, 切りくずが工具すくい面上に堆積せず, チタン合金やステンレス鋼などの難削材でも均一形状をもつ連続長繊維の生成が可能である.
(3) 切削繊維 (切りくず) の形態に対して工具傾き角の影響が強い.同角度を比較的大きく設定することによって, 工具回転速度が速くなり, 切りくずが安定した繊維状になる.

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