精密工学会誌
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モノづくりのための知情意と心技体
守友 貞雄
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63 巻 (1997) 2 号 p. 158-161

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抄録

いろいろなキーワードで人間の持つ特性について考えることを述べてきたが図2に示す方法が人間の特性を網羅的に評価し得ると考えている.
知的能力とは, 知・情・意の知である.これそのものはかなり先天的能力ではあるが努力と訓練によっても高められる.先きにも述べたように, 企業活動の中では不十分なら他人から借りられる能力と考えるべきである.社会に出てからは, 学校では許されぬカンニングは法をおかさない限り, 許されるのである.知は従って売買の対象ともなり得るのである.
技能的能力は先天的なものがかなり高いといえる.もちろん訓練によって多少高めることはできる.そしてこの能力も企業社会では, もし必要なら他人から借りたり, 買ったりすることができる.
態度能力という言葉は本明寛氏によったもので, 先生はアメリカではソーシャル・スキルズ (社会的技能) として教育体系の中に組み込まれている言葉の訳として創出されたとのことである.この言葉の意味を説明的にいえば次のようになる.いつもすばらしい態度でお客様に接することのできる能力, 対人関係をスムーズに処理する能力, 人の心を理解する能力, 場面場面で必要な態度をこなせる能力, 気配りができる能力, タイミング良く話のできる能力などといえる.
これこそ社会生活の基本的能力ともいえそうである.物づくり社会でも極めて重要な能力である。そしてこの能力は後天的に創り出し, 高められる能力といえる.またこの能力こそは個人に属し人に借りるわけにはいかない能力といえる.
意志能力は決意する, 意志を持つ, 志を持つ, 意欲的, 責任感などのキーワードに示す能力である.その人の存在感そのものである.従ってこの能力も先きの態度能力と同様他人から借りることはあり得ないわけである.
物づくりが個人のみで完結するときには知的能力と技能的能力が主体の人でも人間国宝のように極めて価値の高いものを創り出す.
企業における物づくり集団ではリーダの果たす役割が重要となり, このリーダの能力として図2の4つの大丸の能力のうち態度能力と意志能力が特に重要となる.すなわち知と技だけではリーダは決してつとまらない.物づくりの方向を決める人, それは態度能力と意志能力の高い人である。
さらに必要な特性として体力, 徳性, 品性をつけ加えて人間の総合的な特性といいたい.

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