2005 年 20 巻 4 号 p. 4_3-4_9
肝不全例では糖質、脂質、蛋白質代謝異常が顕著に現れ、特に血清アミノ酸濃度の不均衡が特徴的であり、分岐鎖アミノ酸 (BCAA) /芳香族アミノ酸 (AAA) の比で表されるFischer比の低下をきたす。このような疾患に対して経口BCAA療法が有効であり、食事摂取とともに高濃度のBCAAを内服することによって長期にわたる良好な栄養管理が可能である。
我々は、腹水を合併したC型肝硬変に対し長期間にわたり経口BCAA療法を行い良好な経過をたどった症例を経験した。さらに、非代償性肝硬変15例を対象に経口BCAA療法を行った結果、Fischer比は1.52±0.60から投与12ヶ月後には2.20±1.02までの改善が得られた。またPhe/Tyrモル比についても同様に投与前0.68±0.10が投与12ヶ月後0.82±0.15と改善が得られ、経口BCAA療法が有用であることが示された。