2007 年 22 巻 3 号 p. 337-343
目的:黒酢もろみ末によるヒト大腸癌細胞の増殖抑制効果を、大腸癌動物モデルにおいて検討した。
方法:ヒト大腸癌細胞株LoVoを移植したヌードマウスを、2%黒酢もろみ末が配合された飼料で飼育した黒酢群(10匹)と、通常の飼料で飼育した対照群(10匹)に分け、LoVo移植50日後に比較した。
結果:腫瘍量は対照群(631 ± 20 mm3)に比べ、黒酢群(259 ± 19 mm3)で有意に少なかった。また、大腸癌細胞のアポトーシスの程度は、両群で差はみられなかったが、腫瘍中の活性型gelatinases値は、対照群(matrix metalloproteinase(MMP)-2 63.2 ± 18.4 ng/mL、MMP-9 139.2 ± 8.7 ng/mL)に比べ、黒酢群(MMP-2 9.2 ± 0.9 ng/mL、MMP-9 41.4 ± 4.6 ng/mL)で有意に低下していた。
考察:黒酢もろみ末による、ヒト大腸癌細胞株LoVoの増殖抑制効果が認められた。また、その機序のひとつとして、腫瘍中の活性型gelatinasesの抑制が推測された。