2008 年 23 巻 1 号 p. 9-15
日本の医学教育において、臨床栄養に関する教育は重視されてこなかった。近年、医学部教育の中に栄養管理に関する講義が組み込まれている医科大学・大学医学部は増加しているが、欧米と比べると、栄養教育の講義時間数はまだまだ十分とは言えない。しかしながら、医学部附属病院の臨床実習のなかで、ベッドサイドの栄養教育を実践する大学も増えつつあり、多職種から構成されるNSTのスタッフが臨床栄養教育を担当する大学もみられるようになった。講義による医学教育からベッドサイド・ラーニングへの転換である。さらに、研修医・医師への栄養教育においても、各病院のNSTが中心となって様々なプログラムが組まれている。このように、医師への卒前卒後教育における栄養教育にも新しい潮流がみられる。今後は、新臨床研修制度のなかで、医師の栄養教育をいかに発展させていくかが課題である。