2008 年 23 巻 2 号 p. 249-253
PEGはわが国でも経腸栄養管理のためのルートとして第一選択となっている。また在宅緩和医療の1つの手段として減圧ルートとしても使用されることも多くなっており、患者の苦痛軽減につながっている。ただその適応においては慎重に対応しなければいけない。PEGの適応、禁忌についてはガイドラインが出されているが造設術は侵襲性のある手技であり、個々の患者の状態に応じて適応を決定することが大切である。また最近では増えつつある認知症患者へのPEG造設の適応など、迷うことも多くなってきている。臨床倫理の考え方に基づく適応決定の方法もあるが、患者の意思が確認できない場合も多く、また宗教、社会環境など背景が複雑であり一律に決められないのが現状である。PEG造設の倫理は終末期医療における強制栄養の可否についての倫理問題でもあり、これからまだ時間をかけての議論が必要と思われる。