静脈経腸栄養
Online ISSN : 1881-3623
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総説
NST活動、その課題と方策
東口 高志
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2008 年 23 巻 4 号 p. 637-641

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抄録
これまで各施設あるいは個々の医師が明確な指針や方向性もないまま実施してきた栄養管理が、NSTの普及によって大きく変化を遂げ、適切な栄養管理サービスの提供が多くの施設で可能となった。わが国の医療におけるNSTが担うべき将来の課題として、(1)高齢者医療の基盤の確立、(2)侵襲に対する修復機転の促進、(3)チーム医療の充実、(4)患者中心の医療(全人的医療)の実践、(5)高次的地域医療連携の構築などがあげられる。しかし、NSTは普及し1200以上の施設に設立され、第三者機関によるNST活動の質の保証が行われても、わが国の医療は未だ縦割り構造を完全に離脱したわけではなく、職種間や診療科間の壁がチーム活動を妨げ、その育成を害することもある。この大きな壁を乗り越えるためには、常にNST活動を続け、医療行為としてのチームの提言を診療録に記録し、すべての患者に最適な栄養管理を提供する体制づくりを進めるなど種々の努力が必要である。
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© 2008 日本静脈経腸栄養学会
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