静脈経腸栄養
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特集:必要エネルギー量の算出法と投与の実際
各論 周術期を含め侵襲下におけるエネルギー投与に関する理論的考え方
~既存のエネルギー投与量算定法からの脱却~
寺島 秀夫只野 惣介大河内 信弘
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2009 年 24 巻 5 号 p. 1027-1043

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抄録

侵襲が加わった生体のエネルギー需要は、侵襲反応として供給される内因性エネルギー供給と栄養療法として投与する外因性エネルギー供給の相互作用によって充足される。現在、内因性エネルギー供給を測定することができないため、外因性に投与する至適エネルギー量が算定できない状況にある。故に、栄養療法の立案に際してその基軸となるべき至適エネルギー投与量が決定できないために、最適化された栄養療法を実践することが困難となっている。従来の栄養療法は、侵襲下においても生体のエネルギー消費量を外因性にすべて供給するとした基本概念を採用してきたが、このエネルギー投与法は必然的に過剰エネルギー投与として作用して有害事象が発生するため、蛋白代謝の改善が得られないばかりか、栄養療法自体が有害、逆効果になり兼ねない問題を内在していた。こうした状況を踏まえ、侵襲下の代謝動態に基づくエネルギー投与法の考え方を提言して論証を行った。

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© 2009 日本静脈経腸栄養学会
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