静脈経腸栄養
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特集:必要エネルギー量の算出法と投与の実際
各論 各種病態におけるエネルギー、基質代謝の特徴と、至適エネルギー投与量 (敗血症)
織田 成人
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2009 年 24 巻 5 号 p. 1053-1057

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抄録

敗血症は感染によって引き起こされた全身性炎症反応症候群 (SIRS) であり、重症化すると多臓器不全に陥り死亡する重篤な病態である。その代謝動態には神経―内分泌系反応とサイトカインを中心とした免疫―炎症反応が深く関与している。敗血症時の代謝異常は、消費エネルギー量の増大とタンパク異化、糖代謝、脂質代謝の亢進が特徴である。従来、敗血症時の投与エネルギー量は基礎代謝量の1.3倍程度とされてきたが、最近のガイドラインでは20―30kcal/kg/dayの投与が推奨されている。また、その栄養管理においてはできるだけ静脈栄養を避け経腸栄養を早期から開始すること、インスリンを用いて血糖値を150mg/dL程度に管理することが推奨されている。脂肪製剤に関しては、従来のω-6系脂肪製剤は避けるべきであるが、GLAとω―3系脂肪酸であるEPAを強化した経腸栄養剤を、特に急性肺傷害 (ALI)/ARDSに対して用いることが推奨されている。

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© 2009 日本静脈経腸栄養学会
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