2009 年 24 巻 5 号 p. 1077-1083
不飽和脂肪酸のうちω6系多価不飽和脂肪酸は癌細胞の増殖を亢進、ω3系多価不飽和脂肪酸は抗腫瘍効果を示す。これらω3/6系多価不飽和脂肪酸の作用はcyclooxygenase (COX) により分解・生成されたプロスタグランディンによる効果と考えられている。我々は、膵癌細胞にω6系多価不飽和脂肪酸を作用させることで癌細胞の増殖・浸潤能が亢進、逆にω3系多価不飽和脂肪酸を作用させることで抑制されることを確認した。さらに、マウスにω3系多価不飽和脂肪酸を豊富に含む食餌を経口摂取させることで、皮下移植腫瘍の増殖抑制効果を確認した。これらの結果から、ω3系多価不飽和脂肪酸の経口摂取によって、膵癌患者の治療に貢献できる可能性が示唆される。