2010 年 25 巻 3 号 p. 763-768
昨年(2009年)、厚生労働省から「日本人の食事摂取基準(2010年版)」が発表された。2010年版は2005年版で示された考え方が踏襲されているが、数値の時代から理論・理屈の時代に、そして、活用は数値をあてはめる時代から考える時代に入ったという印象を強く受ける記述になっている。食事摂取基準の基本的な考え方はほとんどが「総論」で記述されている。「総論」の特徴をあげるとすれば、「活用の基礎理論」が盛り込まれたこと、活用目的が3種類に分けられて記述されたこと、そして、アセスメントの重要性が強調されたことであろう。これで現場が食事摂取基準をじゅうぶんに活用できるかといえば、そこまでは至っていない印象が強いが、それでも、栄養管理業務が医療業務のひとつであり、「科学」であるとすれば、食事摂取基準の理論、特に、総論の内容は栄養管理に携わる者が必ず理解していなければならないことは明らかである。