抄録
短腸症候群に対する絶対的根治治療としては、小腸移植手術しかないが、治療成績や保険未適応などの問題もある。近年、内科的治療として、シンバイオティクス療法が注目され、自検例を含めて、腸管内細菌叢バランスの改善や、bacterial translocationの抑制、そして、栄養状態の改善など、免疫系、栄養、代謝への有用性が多く報告されている。しかし、免疫系を低下させるという研究報告はないものの、投与菌種により敗血症を発症したという報告は認められ、その有用性のエビデンスレベルは、未だ低い。短腸症候群に対する内科的治療は、ESPENでは、潰瘍性大腸炎やクローン病とともに、エビデンスの評価とそれに基づいたガイドラインが作成されているものの、シンバイオティクス療法に関する記載は認められない。その有用性を明確にするためには、多施設共同によるエビデンス作りが必要である。