静脈経腸栄養
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原著
保形軟化食品“あいーと®”の開発とその物性評価ならびに人工消化液浸漬試験による崩壊性と消化性の検討
東口 高志
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2011 年 26 巻 3 号 p. 965-976

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抄録

【目的】酵素分解法を用い一般の食事と全く変わらない自然な外観と風味を保ちながら、口腔内で容易に溶解し咀嚼困難や嚥下障害患者の経口摂取に適した形状を有する新しい食品“あいーと®”を開発した。その形状機能を評価する目的で、物性測定と組織成分を分析するとともに人工消化液への浸漬試験による崩壊性と消化性を検討した。
【対象と方法】保形軟化食品“あいーと®”の物性と組成、ならびに人工消化液中での崩壊性と消化性について解析し、咀嚼および嚥下機能障害症例に対する有用性について通常調理の“常食”を対照として検討した。物性値はクリープメータを、蛋白分析はSDS電気泳動法を、食物繊維分析は酵素-重量とHPLC法を用いた。消化実験は、人工唾液、胃液および腸液中に浸漬し37℃で60分間反応させ、その残渣率や蛋白溶出量などを検索した。
【結果】“あいーと®”の硬さは、いずれの食材でも2×104 N/m2以下の“常食”に比べて著しく低い値を示した。その変化は酵素処理によって食物の骨格を形成する蛋白や食物繊維が容易に消化され、低分子化されることによってもたらされることが判明した。人工唾液、胃液や腸液を用いた人工消化液浸漬実験では、“あいーと®”は常食に比べ速やかに崩壊し、わずかに残渣を残すまでに消化されることが示された。また、“あいーと®”の成分である蛋白は消化液中へ速やかに溶出しており、その濃度は常食に比べ明らかに高値を示した。
【結論】酵素分解法を用いた保形軟化食品“あいーと®”は、外観は全く常食と変わらないが、口腔内でその形状が変化し咀嚼および嚥下がしやすい軟らかさと物性を有することが判明した。したがって“あいーと®”は咀嚼、嚥下機能や消化管機能が低下した高齢者や消化管術後早期の患者の経口栄養に適した全く新しい栄養製品であることが示唆された。

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© 2011 日本静脈経腸栄養学会
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