静脈経腸栄養
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総説
一炭素単位転移機構と関連酵素遺伝子多形の臨床的意義
大村 健二
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2013 年 28 巻 1 号 p. 5-12

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抄録

一炭素単位とは、メチル基やメチレン基、メテニル基といった炭素1個を含む残基の総称である。一炭素単位の転移反応は生体の恒常性の維持に極めて重要であり、house keeping genesにコードされている。この酵素群には多くの遺伝子多型が存在し、随伴する疾病の発生や先天性疾患の発生頻度の上昇が明らかにされてきた。また、一炭素単位の転移反応において、それらの輸送担体として存在するのが還元型葉酸である。葉酸代謝と先天性疾患の関係については、妊娠中には葉酸欠乏に陥らないよう食事指導がなされるなど、実臨床にも反映されてきた。一方、葉酸欠乏に類似した環境を形成する遺伝子多型については、それを補う栄養指導がなされるに至っていない。核酸代謝と物質のメチル化の双方に深く関与する一炭素単位の転移反応を理解することは、精緻な生体の恒常性維持機構を知るという観点からも重要である。

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© 2013 日本静脈経腸栄養学会
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