2014 年 29 巻 3 号 p. 799-803
高齢社会となり入院患者も高齢化している。栄養管理とくに強制栄養が、単なる延命治療ではないかとの批判もある。高齢者は入院時栄養不良も多く、栄養不良では術後の回復も遅れ、筋力や免疫能を始めとする体力も低下しやすい。
体力低下は離床の遅れにつながり、入院中の嚥下機能低下、誤嚥性肺炎、褥瘡なども発生しやすい。結果的に動けない、食べられない、家に帰れないことになれば、QOLは大きく低下する。ゆえに適切な栄養サポートは重要である。
周術期の栄養管理についても、不要な長期間の絶食や輸液は患者のQOLを低下させることになるので、科学的根拠に基づいた栄養管理で標準化すべきである。また、静脈栄養よりも経腸栄養が生理的で安全であるが、最もQOLが良好なのは、経口摂取すなわち食事である。生命維持だけが目的ではなく、美味しく食べてこそ、生きている喜びがある。