日本周産期・新生児医学会雑誌
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症例報告
生菌製剤の含有する牛乳タンパクが関与した新生児・乳児消化管アレルギーの1例
佐藤 要金井 祐二片山 有里子今村 孝
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2020 年 56 巻 1 号 p. 118-123

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抄録

 腸内細菌叢と様々な疾病の関連が判明し,新生児への生菌製剤の投与も広く行われている.我々は生菌製剤の関与が疑われた新生児・乳児消化管アレルギーの一例を経験した.症例は在胎27週,出生体重984gの早産・超低出生体重児である.生後から生菌製剤と母乳を投与した.人工乳,母乳強化剤の投与を契機に,腹部膨満や末梢血中の好酸球増多等が出現した.投与中止後も症状は持続し,皮膚炎や体重増加不良を認めた.まず生菌製剤を中止し,次に栄養を加水分解乳へ変更した.段階的に症状は改善し体重も良好に増加した.アレルゲン特異的リンパ球刺激試験はラクトフェリンに陽性,薬剤誘発性リンパ球刺激試験は生菌製剤に陽性,母乳に疑陽性を示した.以上より,人工乳・母乳強化剤により発症し,生菌製剤・母乳も関与した牛乳タンパクに対する新生児・乳児消化管アレルギーが疑われた.新生児のアレルギーの一因として,生菌製剤の関与を考える必要がある.

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© 2020 日本周産期・新生児医学会
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