日本周産期・新生児医学会雑誌
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症例報告
先天梅毒を合併し異なる転帰をとった極低出生体重児の2例
徳田 温子児玉 由紀菅野 知佳後藤 智子山田 直史山下 理絵土井 宏太郎金子 政時鮫島 浩
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2020 年 56 巻 3 号 p. 538-543

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抄録

 梅毒は未だに最もよくみられる先天感染であり,未治療母体では胎児感染が懸念される.近年米国だけでなく,本邦でも梅毒患者数が増加し,先天梅毒の報告数が増えている.先天梅毒は適切な治療により予防可能であることから,妊娠中の梅毒の早期発見と早期治療が重要である.今回,先天梅毒を合併し異なる経過をとった極低出生体重児2症例を報告する.いずれも妊娠20週以降で判明した母体梅毒であったが,抗菌薬治療10日間後に出生した1例は軽快退院した.抗菌薬1回治療後に,胎児機能不全のため出生し,新生児死亡した症例の胎盤と全身臓器には多数のTreponema pallidumが認められ,抗菌薬治療の限界と考えられた.

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© 2020 日本周産期・新生児医学会
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